キスは媚薬のように

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キスは媚薬のように

キスは媚薬のように

今日はフルーの二十五歳の誕生日。
祝ってくれる恋人はいない。
一年半前、婚約者に手ひどく裏切られて以来、彼女は男性とのつき合いをいっさい絶っていた。
だからその日、犬の散歩中に迷い込んだ隣家の敷地で、不機嫌な隣人アントニオ・ロチャスと初めて顔を合わせたときも、警戒を緩めなかった――彼と私では住む世界が違うもの。
スペイン人の億万長者も名うてのプレイボーイも私には必要ない。
けれど、どれほど警戒しても、結局は無駄だった。
「誕生日の人にキスをするのは決まりみたいなものだろう?」アントニオの温かい息が頬にかかり、フルーは固く目を閉じた。
ファラは社長令嬢。
美しく着飾ってパーティに出る機会も多い。
実際、パーティ好きの軽薄な女と思われることもあったが、それは彼女が自分を守るために自ら作り上げた虚像だった。
本当の自分をさらして恥をかき、傷つくよりはよっぽどまし。
今日のパーティも、そうやって何事もなく終わるはずだった。
タリクと再会するまでは!タリク――砂漠の国の若き君主。
そして五年前、愛人になれと言って私の心を切り裂いた男。
ファラは逃げ出したくなる気持ちを抑え、必死に平静を装った。
今夜ここへ来た理由を尋ねる彼女に、タリクが甘い笑みで応える。
「僕は君を妻にすることに決めたのさ、ファラ。
君と結婚する」アレクサンドラは、いつか映画制作に携わる日を夢見て、ハリウッドの撮影所で事務員として働いている。
ある日、彼女は憧れの俳優からランチに招待された。
ウルフ・ケリック。
今をときめく大スターだ。
天にものぼる心地で約束の場所に出向くと、いきなり頼み事を切り出される。
「四週間、ぼくの愛人のふりをしてほしい」引き受ければ、近い将来、助監督に抜擢するという。
だけど、なぜ私なの? 地味で、美しくもないのに……。
いぶかりながらも、彼女は人生を変えるチャンスに賭けた。
ベサニーはアンティークショップのバイヤー。
骨董品の買い付けに行った帰り、寂しい峠道をまわることにした。
そこは六年前、彼女が恋に落ちた思い出の地だったからだ。
ジョエルという名前しか知らず、話すこともなかった初恋の人。
以来、ベサニーの心から彼の面影が消えた日はなかった。
でもまさか、パンクして峠で立ち往生したとき、ジョエルその人が車で通りかかり、助けてくれるなんて! しかも濃霧で動けず、二人はホテルの一つベッドで夜をともにした。
彼こそ運命の人――夢心地で幸せな気持ちに包まれたベサニーは、行きの道でも同じ車が後ろにいたことなど思い出しもしなかった。
〈ラズロ・グループ〉のエージェント、リア・デ・ヘイズは、ニコラス・ドノバンを見つけて祖国に連れ帰るよう命じられた。
半年前に毒殺された王子レジナルドが国王の実子ではないとわかり、反王制活動をしていたニコラスが真の王子だと判明したのだ。
リアはニコラスの潜伏先をつきとめ帰国を促すが、彼は頑として応じようとしない。
その一方で、リアは以前彼に会ったことがある気がしてならなかった。
でも、いつ、どこで? 彼女はその疑問をニコラスにぶつけた。
すると彼は言った。
「ヒントをあげるよ」そして、リアに情熱的なキスをした。
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